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韓国コスメのパッケージや商品説明で、「기능성화장품(機能性化粧品)」という言葉を見かけることがあります。X(旧Twitter)でも、韓国のクリームを「美白・シワ改善機能性化粧品」と紹介する日本語の投稿がありました。ただ、この言葉は宣伝用のキャッチコピーではなく、韓国の化粧品法で決められた区分の名前です。
この記事では、韓国の国家法令情報センターに載っている化粧品法と同法施行規則、食品医薬品安全処(MFDS、食薬処)の化粧品政策のページ、韓国医薬品輸出入協会のFAQ、2017年の制度拡大を伝えた韓国の報道などをもとに、機能性化粧品の定義と11種類の範囲、審査と報告のしくみ、箱の表示の読み方を整理しました。日本の医薬部外品と同じものだと思い込まないためのポイントもまとめています。
韓国の機能性化粧品は法律で決まった区分
まずは、機能性化粧品という言葉が韓国の法律でどう定められているのかを見ていきます。食薬処の化粧品政策のページは、韓国の化粧品を「機能性化粧品」と「(一般)化粧品」の2つに分け、機能性化粧品を除いた残りを一般化粧品と呼んでいます。つまり、どの化粧品も、このどちらかに入るという考え方です。
化粧品法第2条の5つの方向と、施行規則第2条の11種類
化粧品法の第2条第2号は、機能性化粧品を「化粧品の中で、次のいずれかに当たるもので、総理令で定める化粧品」と定義しています。挙げられているのは、皮膚の美白に役立つ製品、皮膚のシワ改善に役立つ製品、皮膚をきれいに日焼けさせる、または紫外線から皮膚を守るのに役立つ製品、毛髪の色の変化・除去または栄養供給に役立つ製品、皮膚や毛髪の機能の弱まりによる乾燥・ひび割れ・抜け毛・角質化などを防いだり改善したりするのに役立つ製品の5つです。
ここで注意したいのは、法律の条文自体は方向を示しているだけで、具体的な範囲は「総理令」、つまり化粧品法施行規則にゆだねられている点です。法律に「美白に役立つ」と書いてあっても、美白をうたう化粧品がすべて機能性化粧品になるわけではありません。施行規則に並んだ範囲に当てはまり、後で説明する審査か報告を済ませた製品だけが、機能性化粧品として扱われます。
なお、化粧品そのものの定義も押さえておきましょう。食薬処のページでは、化粧品を「人体を清潔にし美しくして魅力を加え、容貌を明るく変化させたり、皮膚・毛髪の健康を維持または増進したりするために、人体に塗る、こする、吹きかけるなどの方法で使われる物品で、人体への作用が軽微なもの」と説明しています。機能性化粧品も、あくまでこの「作用が軽微な化粧品」の中の一つの区分です。
化粧品法施行規則第2条は、機能性化粧品の範囲を11の号で定めています。国家法令情報センターで確認した2026年4月2日施行の条文では、次のとおりです。1号はメラニン色素の沈着を防いでシミ・そばかすの生成を抑え、美白に役立つもの、2号は沈着したメラニン色素の色を薄くして美白に役立つもの、3号は皮膚に弾力を与えてシワを緩和または改善するもの、4号は強い日差しを防いで皮膚をきれいに日焼けさせるもの、5号は紫外線を遮断または散乱させて皮膚を守るものです。
6号以降は、毛髪の色を変えるもの(脱染・脱色を含み、一時的に色を変える製品は除く)、体毛を除去するもの(物理的に除去する製品は除く)、脱毛症状の緩和に役立つもの(コーティングなどで物理的に髪を太く見せる製品は除く)、ニキビ肌の緩和に役立つもの(人体洗浄用製品に限る)、皮膚バリアの機能を回復してかゆみなどの改善に役立つもの、妊娠線などの肉割れによる赤い線を薄くするのに役立つもの、と続きます。
食薬処の政策ページでは、これを皮膚の6種類(美白、シワ改善、日焼け・紫外線防止、ニキビ緩和、皮膚バリア機能回復、肉割れ)と、毛髪の4種類(染毛剤、脱染・脱色剤、脱毛症状緩和、除毛剤)に分けて図にしています。号の数は11ですが、使う人の目線では「肌」と「髪・体毛」の2つの系統に分かれると考えるとわかりやすいでしょう。
2017年に3種類から大きく広がった
今の11種類の範囲は、最初からあったわけではありません。もともと韓国の機能性化粧品は、美白・シワ改善・紫外線防止の3分野が中心でした。範囲が大きく広がったのは2017年で、韓国コスメの箱に「기능성화장품」の文字が増えた背景には、この制度の変化があります。
2017年5月30日の改正で加わったものと、10号の書き換え
韓国のアジア経済は2017年4月2日の記事で、5月30日から機能性化粧品の範囲が3種類から10種類に広がると伝えています。加わったのは、染毛、脱色・脱染、除毛、脱毛緩和、ニキビ肌の緩和、アトピー肌による乾燥の緩和、肉割れの赤い線を薄くすることの7種類です。食薬処の告示2017-41号も、改正の理由として、化粧品法の改正(法律第14264号、2016年5月29日公布、2017年5月30日施行)と施行規則の改正(総理令第1357号、2017年1月12日公布、2017年5月30日施行)を挙げています。
この改正で、染毛剤や除毛剤などは、それまでの「医薬外品」から機能性化粧品に移りました。韓国医薬品輸出入協会のFAQも、染毛剤・脱染脱色剤・除毛剤は2017年5月30日から機能性化粧品として扱われると説明しています。告示2017-41号は、こうした移行に合わせて、主な成分の使用上限や配合禁止成分を見直したものです。同じFAQには、化粧石けんや除毛用のワックスなどが2019年12月31日から化粧品として扱われるという説明もあり、区分の線引きはこの数年で何度か動いています。
アジア経済の記事によると、新しく加わった分野では、病気を「防ぐ」「治す」と受け取られるような直接的な言い方は認められず、「緩和に役立つ」といった表現に限られるとされていました。韓国コスメの説明に「〜の緩和に役立つ」という、少し遠回しな言い方が多いのはこのためです。
2017年の拡大の時点では、施行規則第2条第10号は「アトピー性皮膚による乾燥などの緩和に役立つ化粧品」という書き方でした。今の条文を国家法令情報センターで見ると、第2条には2020年8月5日の改正が記録されていて、10号は「皮膚バリア(皮膚の一番外側にある角質層の表皮)の機能を回復して、かゆみなどの改善に役立つ化粧品」に変わっています。
つまり、病名である「アトピー」という言葉を範囲の定義から外し、肌のバリア機能という化粧品らしい言い方に置きかえた形です。古い解説記事や、2017年ごろの資料を読むと「アトピー」と書かれていることがありますが、2026年10月時点で確認できる条文は「皮膚バリア」です。調べるときは、資料がいつの条文をもとにしているかも確かめておきましょう。
また、11種類のうち9号のニキビ肌の緩和は「人体洗浄用の製品に限る」とされています。洗顔料ならニキビ肌向けの機能性化粧品になりえますが、同じ目的のクリームや美容液はこの号には当たりません。こうした細かな条件も、範囲を読むときの大事なポイントです。
審査を受けるか、報告で済むか
機能性化粧品として売るには、品目ごとに食薬処の手続きが必要です。食薬処の政策ページの管理体系図でも、開発段階に「機能性化粧品審査」が置かれ、担当は化粧品審査課とされています。手続きには「審査」と「報告」の2つの道があり、どちらに当たるかで出す書類が変わります。
審査で提出する資料と、報告で済む場合
施行規則第9条によると、審査を受ける場合は、品目ごとに審査依頼書を出し、食品医薬品安全評価院長の審査を受けます。2014年時点の施行規則の条文を見ると、添付する資料は、起源と開発の経緯に関する資料、安全性に関する資料、有効性または機能に関する資料、紫外線遮断指数とUVA遮断等級を決めた根拠の資料(紫外線防止の製品だけ)、基準と試験方法に関する資料の5種類です。
安全性の資料には、単回投与毒性試験、一次皮膚刺激試験、眼粘膜刺激試験、皮膚感作性試験、光毒性・光感作性試験、人体パッチテストが並んでいます。有効性の資料は、効力試験と人体適用試験です。審査の基準としては、原料と分量が効能・効果に照らして合理的であること、効能・効果が化粧品法第2条第2号に合っていること、用法・用量が誤用のおそれのないはっきりした表現で書かれていることが挙げられています。
審査が終わると、審査番号と審査年月日、会社名と所在地、製品名、効能・効果が審査台帳に記録され、結果通知書が出される流れです。なお、条文は改正で書きぶりが変わることがあり、今は大学や研究機関も審査を依頼できる形になっています。細かな要件を確かめたいときは、国家法令情報センターで最新の条文を見るのが確実です。
施行規則第10条は、審査を受けずに報告書を出せばよい場合を定めています。一つは、効能・効果を出す成分の種類と含有量、効能・効果、用法・用量、基準と試験方法が、食薬処長の告示した品目と同じ場合です。もう一つは、すでに審査を受けた機能性化粧品と、成分の種類・規格・含有量、効能・効果、基準と試験方法、用法・用量、剤形がすべて同じ品目です(美白とシワ改善などは、対照群との比較試験で効能が確かめられた品目に限られます)。
報告を受けた食品医薬品安全評価院長は、要件を確かめてから、報告番号や報告年月日、製品名、効能・効果を報告台帳に記録します。日本語で韓国の日焼け止めを解説しているSeoulpinによると、食薬処には機能性化粧品のデータベースが「審査(심사)」と「報告(보고)」の2つあり、報告で届け出た商品は報告側のリストにしか載らないため、両方を検索するよう案内しています。
つまり、「機能性化粧品」と書かれていても、一から試験資料を出して審査を受けた品目と、告示や既存の品目と同じ内容だと報告した品目の両方があるということです。どちらであっても、食薬処の手続きを経ているという点は共通しています。
箱の表示で確かめたいこと
最後に、実際に韓国コスメを手に取ったとき、どこを見ればよいのかを整理します。機能性化粧品かどうかは、商品名の雰囲気や「美白」「シワ」といった言葉だけでは判断できません。箱や容器に何が書かれているかを確かめるのが基本です。
「기능성화장품」の表示とSPF・PAの読み方
Seoulpinの解説では、韓国の機能性化粧品の箱には「기능성화장품」の文字か、食薬処の図案が必要だとされています。施行規則第19条(2014年時点の条文)も、包装に書く事項として、機能性化粧品の場合は「審査を受けたか報告した効能・効果、用法・用量」を挙げ、成分の欄でも効能・効果を出す原料を示すよう定めていました。
効能・効果の言い方は、化粧品法第2条の「皮膚の美白に役立つ(미백에 도움을 주는)」「皮膚のシワ改善に役立つ」といった、法律の範囲に沿った表現が基本になります。韓国語では「미백(美白)」「주름개선(シワ改善)」「자외선차단(紫外線防止)」といった言葉が、기능성화장품の近くに書かれていることが多いでしょう。Seoulpinも、一つの日焼け止めが紫外線防止・シワ改善・美白の3つの機能を持つ商品として紹介されている例を挙げています。
逆に、「기능성화장품」の表示がなく、「保湿」「ツヤ」などをうたっている商品は、一般化粧品として売られていると考えられます。一般化粧品だから劣るという意味ではなく、制度上の区分が違うということです。
紫外線防止の機能性化粧品では、SPFとPAの表示が大事になります。Seoulpinによると、韓国で表示できるSPFの上限は「SPF50+」で、測った値が50以上なら「50+」と書きます。PAは、UVA防止係数が2以上4未満でPA+、4以上8未満でPA++、8以上16未満でPA+++、16以上でPA++++の4段階です。数値は肌1平方センチメートルあたり2mgを塗って測ったものなので、薄く伸ばすと表示どおりの効果は出にくいと説明されています。
日本で韓国コスメを使うときに気をつけたいのは、韓国の「機能性化粧品」は韓国の制度の区分であって、日本の医薬部外品とは別のものだという点です。韓国で機能性化粧品として審査や報告を受けた品目でも、日本で売られるときは日本の薬機法のルールで扱われます。逆に、日本向けの宣伝で「機能性化粧品」という言葉が使われていても、それは韓国での区分を紹介しているにすぎません。
また、機能性化粧品であっても、医薬品のように病気を治すものではありません。2017年の拡大のときに「緩和に役立つ」という表現に限られたように、効果の言い方には制限があります。肌トラブルが続くときは、化粧品だけで解決しようとせず、皮膚科などで相談しましょう。
まとめ:韓国の機能性化粧品を理解する5つのポイント
韓国コスメの箱にある「기능성화장품」は、韓国の化粧品法で決まった区分を表す言葉です。最後に、この記事で整理した内容を5つにまとめておきましょう。
- 韓国の化粧品は、機能性化粧品と一般化粧品の2つに分けられ、機能性化粧品の範囲は化粧品法第2条と施行規則第2条で決まっている
- 範囲は11種類で、美白(2つ)、シワ改善、日焼け・紫外線防止(2つ)、染毛、除毛、脱毛症状の緩和、ニキビ肌(洗浄用に限る)、皮膚バリア、肉割れの赤い線
- 2017年5月30日に3分野から大きく広がり、染毛剤や除毛剤は医薬外品から機能性化粧品に移った。10号は2020年の改正で「アトピー」から「皮膚バリア」に書き換えられた
- 品目ごとに食薬処の審査を受けるか、告示や既存品と同じなら報告を出す。データベースも審査と報告の2つがある
- 箱では「기능성화장품」の文字か図案、効能・効果、用法・用量、SPFとPAを確かめる。日本の医薬部外品とは別の制度である
韓国コスメを選ぶとき、「기능성화장품」の表示は、その商品が韓国でどの機能について手続きを済ませたかを知る手がかりになります。ただし、制度の区分は国ごとに違い、条文も改正で変わります。気になる商品があれば、箱の表示と食薬処のデータベース、最新の条文をあわせて確かめてみてください。